レンタルスペースの清掃で起きる失敗は、汚れが落ちないことよりも、やるべき項目が抜けることです。前の利用者が退室してから次の利用者が入室するまでの時間は限られており、順番を決めずに始めると、後戻りと確認漏れが発生します。この記事では、退去から入室までの清掃を6段階の手順に固定し、毎回やることと周期で回すことを分けたうえで、頻度・水準と、かかる手間・費用の見当の決め方を整理します。清掃時間の短縮の仕組みや委託費用の比較は、それぞれ別の記事で扱います。
Spekanってどんな製品?
個人情報なし・製品ページをそのまま確認できます
この記事でわかること
- 清掃の失敗が「抜け」で起きる理由と、順番を固定する考え方
- 毎回必要な日常清掃と、周期で回す定期清掃の分け方
- 退去から入室までの6段階の手順と、各段階で行うこと
- チェックリストと記録で、実施を確認できる形にする方法
- 清掃の頻度・水準の決め方と、手間・費用の見当のつけ方
清掃のやり方を決める前に|抜けを防ぐ考え方
清掃のやり方を検討するとき、最初に取り上げられやすいのは道具や洗剤です。しかし実際に品質を左右するのは、作業の順番と、何を毎回行い何を周期で回すかの切り分けです。このセクションでは、清掃の失敗が起きる原因と、作業を2種類に分ける考え方を整理します。
清掃の失敗は「抜け」で起きる
利用者から指摘される清掃の不備は、目に見える汚れが残っていることより、備品の不足や忘れられた箇所のように、確認が漏れたことによるものが多くなります。汚れは作業を進めるうちに落ちますが、抜けは作業を終えた時点で確定してしまいます。
抜けが起きるのは、順番が決まっていないことに加えて、確認する項目が作業者の記憶に依存しているためです。逆に言えば、退去から入室までの流れを固定し、確認する項目を外に出しておけば、抜けは作業者の注意力に左右されにくくなります。
日常清掃と定期清掃に分けて考える
作業を並べる前に、清掃を性質の違う2種類に分けます。1つは利用者の入れ替えごとに行う日常清掃で、ごみの回収、床の清掃、水回りの清掃、備品の確認が含まれます。もう1つは月単位や年単位で回す定期清掃で、床の洗浄や換気設備の清掃のように、毎回は行わない作業です。

この分け方は、清掃業務の積算資料でも用いられています。国の官庁施設の積算に使われる建築保全業務積算要領では、清掃を「日常清掃」と「定期清掃」に区分し、それぞれに周期(毎日、毎月、数年ごとなど)を定めています。対象は官庁施設の事務庁舎ですが、周期の違う作業を分けて管理する考え方は、レンタルスペースでも参考になります。
分けずに運用すると、定期清掃の作業が毎回の清掃に紛れ込み、1回あたりの作業量が読めなくなります。日常清掃は毎回、定期清掃は周期を決めて別に管理する形にすると、1回の清掃で何をすべきかが明確になります。
【参考】国土交通省大臣官房官庁営繕部「建築保全業務積算要領 令和5年版」
退去から入室までの清掃手順
日常清掃は、退去から次の入室までに行う作業として6段階に固定します。順番を決める目的は、作業を速くすることではなく、後戻りと確認漏れをなくすことです。

最初に行う3段階
最初に行うのは、換気とごみの回収、高い位置のほこり取り、面の拭き上げの3段階です。換気を行ってから作業に入ると、洗剤のにおいが残りにくくなります。ごみは先に回収します。後回しにすると、作業の途中で出たごみと混ざり、回収もれの原因になります。
次に、照明器具やエアコンの吹き出し、棚の上など、高い位置のほこりを取ります。その後に、テーブルやカウンター、ドアノブ、スイッチなどの面を拭き上げます。高い位置を先にするのは、後から落ちてくるほこりで、拭き終えた面を汚さないためです。拭き上げは、奥から手前へ、上から下へ進めると、拭き残しと手戻りが減ります。
床と水回りを清掃する
面の拭き上げが終わったら床に移ります。床は、ほこりや髪の毛を先に取り除いてから拭きます。先に拭くと、ほこりが伸びて広がり、同じ場所を何度も拭くことになります。ほうきや掃除機で除塵してから、必要に応じて水拭きする順番です。
床の次は水回りです。トイレと洗面は利用者ごとに使われるため、清掃の水準が利用者の印象に直結します。便器や洗面ボウルの内側、蛇口の根元、鏡、ドアの取っ手の順に清掃し、ペーパーやタオルの残量もここで確認します。水回りを床より後に回すのは、水はねで床が汚れるためです。
最後に備品と忘れ物を確認する
最後の段階は、備品の配置と忘れ物の確認です。備品は、定位置から動いていないか、数が足りているかを確認します。椅子の数、テーブルの位置、延長コードやリモコンの置き場所のように、利用のたびに動くものは、元の位置を決めておくと確認が短くなります。
忘れ物は、引き出しの中、椅子の下、コンセント周り、ゴミ箱の中を見ます。見つけた忘れ物は、撮影して記録し、保管場所を決めて保管します。この段階で写真を撮っておくと、後から利用者への連絡と、清掃の完了の確認に使えます。
Spekanでできることを確認する
機能一覧・料金プランを確認できます
清掃の道具と消耗品を揃える
手順が決まったら、その手順を無理なく回せる道具を揃えます。道具は多ければよいわけではなく、作業の順番に対応していることが重要です。
洗剤と道具は用途で分ける
洗剤は、使う場所と素材に合わせて選びます。床、ガラス、水回り、家具では、適した洗剤が異なります。汚れに応じて洗剤を選ぶことも必要ですが、それ以上に、素材を傷めないかを確認することが優先です。酸性やアルカリ性の洗剤は、使える素材と使えない素材があるため、対象を確認してから使います。

道具も、用途で分けておくと迷いが減ります。床用のモップ、水回り用のブラシ、面用のクロスは、それぞれ別に用意します。とくに水回り用の道具を他の場所と共用すると、衛生面で問題になります。色分けや保管場所の区別で、使う道具を間違えない形にします。
消耗品の補充を切らさない
消耗品の不足は、利用中の問い合わせとして表面化します。ペーパー、タオル、ごみ袋、洗剤の予備は、使用量を把握して補充のタイミングを決めます。補充の判断を作業者に任せると、判断の基準が人によって変わります。
保管場所と補充の基準数量を決め、基準を下回ったら発注する形にすると、切らす前に補充できます。発注にかかる時間を短くするために、購入先と品番を決めておくことも有効です。
チェックリストと記録で抜けを防ぐ
手順と道具が決まっても、実施を確認できなければ品質は安定しません。このセクションでは、確認の手段としてのチェックリストと記録の作り方を整理します。
チェックリストの項目と粒度
チェックリストは、作業の順番に沿って項目を並べます。項目の粒度は、作業者が「終わったかどうか」を迷わない単位にします。「清掃する」ではなく「床の除塵」「水回りの洗浄」「備品の位置確認」のように、作業と対象を組み合わせた表現にすると、判断の余地が減ります。
抜けが繰り返される箇所は、重点項目として独立させます。引き出しの中、コンセント周り、椅子の下、ゴミ箱の中は、見落としが続きやすい場所です。項目が増えすぎると確認が形骸化するため、日常清掃の項目は1画面に収まる量にまとめます。
清掃の記録の残し方
記録は、清掃が行われたことを後から確認できる形で残します。チェックリストへの記入と、作業後の写真の2つがあると、実施の有無と状態の両方を確認できます。撮影する位置を決めておくと、写真の比較ができます。
記録は、清掃を自分で行う場合にも必要です。記録が続くと、どの作業に時間がかかっているかが分かり、手順や頻度の見直しの材料になります。利用者からの指摘があった場合も、記録があれば状況を確認できます。
清掃の頻度・水準・費用の見当を決める
手順と確認の方法が決まったら、どのくらいの頻度で、どの水準まで行うかを決めます。ここを感覚で決めると、過剰な清掃か、不足する清掃のどちらかになります。
頻度は利用実態から逆算する
日常清掃は利用者の入れ替えごとに行うため、頻度は予約の入り方で決まります。予約が連続する日は清掃の回数が増え、予約が無い日は清掃も発生しません。まず、1週間の予約の入り方と、1回あたりの清掃に必要な時間を書き出します。
次に、定期清掃の周期を決めます。床の洗浄や換気設備の清掃は、利用回数と汚れの進み方で周期が変わります。利用が増えた月に汚れが進むなら、周期を短くする判断が必要です。日常清掃の回数と定期清掃の周期を分けて記録しておくと、見直しの根拠になります。
利用目的によって変わる清掃の水準
同じ施設でも、利用目的によって求められる水準は変わります。飲食を伴う利用では、テーブルと床の清掃に加えて、においの確認が必要になります。撮影や配信の利用では、写り込む面の清掃と、背景になる部分の整理が求められます。運動や教室の利用では、床と換気が優先されます。
水準をすべて一律に上げると、清掃の時間が足りなくなり、結果として抜けが増えます。利用目的ごとに、重点を置く箇所と省略できる箇所を決めておくと、限られた時間の中で必要な品質を確保できます。
頻度と水準から、手間と費用の見当をつける
頻度と水準が決まると、清掃にかかる手間の見当がつきます。1回あたりの作業時間に、月間の清掃回数を掛けると、清掃に必要な時間の総量が分かります。この総量は、自分で行う場合の負担であり、外部に委託する場合の見積りを比較するときの基準にもなります。

費用の見当も、この総量から考えます。清掃にかかる費用は、作業の回数と1回あたりの作業量で決まるためです。清掃を自分で行う場合は、その時間を他の運営業務に使えないことになります。日常清掃の回数と定期清掃の周期を先に確定させておくと、委託の見積りを取る段階でも、何をいくらで依頼するのかが明確になります。
清掃の段取りを予約枠と一体で設計する|Spekanのご紹介
清掃の手順と頻度が決まっても、予約枠と切り離して考えると、清掃の時間が確保できない予約が入ります。予約と予約の間に清掃の時間を組み込む形にしておくと、手順どおりに作業できます。
Spekanは、レンタルスペース向けの予約管理システムで、予約管理・決済・顧客管理・スマートロック連携・無人運営支援を提供しています。清掃の段取りと関わるところでは、次の2点が運用を支えます。
- 予約枠の設計:予約と予約の間に清掃や点検の時間を確保した枠の組み方ができる
- 予約と記録の紐づけ:清掃の記録を予約と対応させて扱え、状態の確認に使える
機能の詳細や導入の流れは、公式サイトやマニュアルで確認できます。
まとめ|清掃は順番を固定し、頻度と水準を利用実態から決める
清掃の品質は、道具や洗剤より、作業の順番と確認の方法で決まります。退去から入室までの手順を6段階に固定し、毎回行う日常清掃と周期で回す定期清掃を分けておくと、1回の清掃で何をすべきかが明確になります。
頻度は予約の入り方から、水準は利用目的から決めます。頻度と水準が決まれば、清掃にかかる手間と費用の見当もつき、自分で行うか委託するかの判断や、見積りの比較に進めます。
この記事のまとめ
- 清掃の不備は、汚れではなく抜けによって起きる
- 作業は毎回の日常清掃と、周期で回す定期清掃に分ける
- 日常清掃は6段階に固定し、高い位置から低い位置へ進める
- チェックリストと写真で、実施を後から確認できるようにする
- 頻度は予約の入り方から、水準は利用目的から決める
よくある質問
Q. 清掃は毎回どこまでやるべきですか?
A. 毎回行うのは、ごみの回収、高い位置のほこり取り、面の拭き上げ、床、水回り、備品と忘れ物の確認の6段階です。床の洗浄や換気設備の清掃のような毎回は行わない作業は、定期清掃として周期を決めて別に管理します。日常清掃と定期清掃を分けておくと、1回の清掃で何をすべきかが明確になります。
Q. 定期清掃はどのくらいの周期で行えばよいですか?
A. 床の洗浄や換気設備の清掃のような定期清掃は、利用回数と汚れの進み方から周期を決めます。利用が増えた月に汚れが進むなら、周期を短くする判断が必要です。日常清掃の回数と定期清掃の周期を分けて記録しておくと、実際の汚れの進み方に合わせて見直しができます。
Q. 清掃の頻度はどう決めればよいですか?
A. 日常清掃の頻度は予約の入り方で決まります。利用者の入れ替えごとに行うため、予約が連続する日は回数が増え、予約が無い日は発生しません。定期清掃は、利用回数と汚れの進み方から周期を決めます。まず1週間の予約の入り方と1回あたりの清掃時間を書き出し、実際にかかった時間を記録してから見直します。
施設運営を効率化する予約管理システム「Spekan」
機能・料金・導入までの流れをまとめた資料を無料で確認できます。
無料・メールでお届け
監修者情報
望月 直紀
約10年にわたり、無人施設の運営やスマートロック関連の業務に携わる。自身でも複数の施設運営を経験し、予約管理や無人運営、収益改善など、施設運営の実務に従事。現場で感じた「業務効率化だけでなく、利益向上まで支援できる仕組みが必要」という課題をもとに、施設運営向け予約管理システム「Spekan」を立ち上げる。施設運営・無人化・予約管理に関する実務経験を活かし、記事を監修。
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。