レンタルスペースの開業に失敗する人に共通するのは、開業後に起きた問題を「運営の腕の問題」と片づけてしまうことではありません。実際の失敗の多くは、開業前にした判断——エリアと用途、物件の契約条件、投資額、価格設定、集客の導線、運営の仕組み——に原因があります。本記事では、開業後に起きやすい失敗を「検討段階→開業準備→開業後」の3段階に分け、6つのモデルケースとして追体験できる形で紹介します。それぞれ「どんな失敗か→なぜ起きるか→検討段階でどうリスク判断するか」で整理するので、自分の計画と照らしながら読んでください。最後に、6つの例に共通するリスク判断5項目の自己診断リストをまとめました。開業を進める・延期する・規模を縮小する・中止する、の判断に使ってください。
Spekanってどんな製品?
個人情報なし・製品ページをそのまま確認できます
開業の失敗はどの段階で起きるのか
開業後に黒字化できるのは一部——失敗は検討段階の判断に集約される
レンタルスペースは初期投資を抑えて始められることもあり、開業ハードルは低く感じられがちです。一方、開業後の結果はどうでしょうか。
日本政策金融公庫の「新規開業実態調査」(2025年12月5日発表、開業後1年以内の企業8,517社が対象)を見ると、現在の採算状況が「赤字基調」の開業者は33.0%にのぼります(出典:日本政策金融公庫(国民生活事業)「新規開業実態調査」)。また、事業からの収入に「満足」している開業者は28.3%に留まります。黒字基調の開業者でも、当初予想した月商に届いていないのは約4割です。現在の月商が100万円未満の開業者も39.5%います。
つまり、開業後1年以内でも約3割が赤字基調で、約4割は売上見込みに届いていません。「儲からない」の多くは、開業後の努力不足ではなく、開業前の判断——需要の見立て、物件の条件、投資額、価格設定、集客の導線——に原因があります。本記事で紹介する6つの失敗例は、業界で繰り返し報告される典型パターンを再構成したモデルケースで、実在の特定の店舗・施設・個人を指すものではありません。
失敗例は「検討段階→開業準備→開業後」の3段階で整理できる
失敗が起きるタイミングを3段階に分けます。
- 検討段階:エリア・用途・物件・契約条件を決める段階
- 開業準備段階:資金の使い方と価格設定を決める段階
- 開業後:集客と日々の運営を回す段階
それぞれ2つずつ、合計6つの失敗例を取り上げます。各例の後に「検討段階のリスク判断」を置くので、読者が自分の計画を照合できるようにしています。

検討段階の失敗例
失敗例1——思い込みでエリア・用途を決めてしまったケース
モデルケース:都内で働く会社員が副業として開業。通勤圏内の物件を「在宅勤務の人が集中して使う自習室」にしようと考え、静かな住宅街の駅から徒歩の場所に決めました。物件の内覧や需要調査はせず、自分の実体験からの思い込みで選びました。
開業してみると、平日の利用者は想定の半分以下。住宅街で「自習室」と出しても通りがかりの利用は見込めず、週末は予約がほぼゼロになりました。
なぜ起きるか:需要を「自分が使いたいか」で判断したためです。自習室・会議室・撮影スタジオなど用途によって利用者が来るエリアは異なり、オフィス街か住宅街か、駅徒歩何分か、駐車場があるかで需要は変わります。エリアと用途の組み合わせを検証せずに決めると、開業後に取り返しがつきません。
検討段階のリスク判断
- 開業予定エリアの周辺で、同じ用途の施設がどれだけあるかを確認する
- 予約サイトで同エリア・同用途の施設の予約状況を数週間観察し、実際に埋まっているかを見る
- 想定する利用者に直接ヒアリングし、「来たいか」ではなく「いくらなら使いたいか」を聞く
失敗例2——家賃の安さだけで物件を決めてしまったケース
モデルケース:開業資金を抑えたいと考え、相場より大幅に安いテナントを即決しました。契約後に、その物件の用途が事務所のみで営業に使えなかった、または貸主が転貸を認めていなかったことが判明し、開業準備が一度中断しました。さらに周辺には同じ用途の新規施設が相次いで出店し、価格競争に巻き込まれました。
なぜ起きるか:家賃の安さに目を奪われ、契約条件と立地・競合の確認が後回しになったためです。家賃が安いエリアは、そもそも需要が薄いか、競合が集中しているケースがあります。契約条件の確認漏れは開業後の法務リスクにもつながります。
検討段階のリスク判断
- 用途制限(その物件でレンタルスペースとして営業できるか)と転貸の可否を契約前に確認する
- 利用可能な時間帯・騒音・ゴミ出しなど、運営上の制約を洗い出す
- 徒歩圏の競合の数と、自分と差別化できる要素があるかを確認する
検討段階のリスク判断
検討段階で押さえるべき確認項目をまとめます。
- エリアの需要:実際に予約が埋まるか(競合の予約状況・検索需要)
- 用途の妥当性:そのエリアでその用途が求められているか
- 物件の契約条件:用途・転貸・利用時間・騒音など
- 競合の密度:周辺の同用途施設の数と埋まり具合
これらは開業前の段階でしか判断できません。開業後に修正できる範囲は限られているため、この段階で時間をかけることが、開業後の失敗を防ぐうえで費用対効果の高い判断になります。
開業準備段階の失敗例
失敗例3——内装・設備に投資しすぎて回収できないケース
モデルケース:見た目の完成度にこだわり、開業資金の大部分を内装工事とデザイン家具・備品に投入しました。開業後、月商は想定の6割程度。初期投資の回収に数年かかると見込んだ時点で、資金ショートのリスクに気づきました。
なぜ起きるか:「おしゃれな内装にすれば埋まる」という思い込みで、投資額が回収できるかを計算しなかったためです。利用者が見ているのは内装の完成度だけでなく、立地・価格・予約のしやすさです。投資額は「月いくらの売上を見込み、何か月で回収できるか」で決めないと、感覚で決めた投資は回収不能になります。
検討段階のリスク判断
- 初期投資を月々の固定費に換算し、その固定費を回収できる売上見込みがあるか計算する
- 投資を「売上を増やすもの」と「維持に必要なもの」に分け、優先順位をつける
- 内装・備品への投資額を、近隣競合の水準と比較して決める
失敗例4——価格を誤り、埋まっても利益が出ないケース
モデルケース:集客を優先して単価を相場より3割安く設定しました。予約サイトに支払う手数料や清掃・光熱費などの変動費を価格に織り込んでいなかったため、枠が埋まっているのに利益が残りませんでした。
なぜ起きるか:「埋まれば儲かる」と誤解したためです。実際の利益は、単価から変動費を引いた粗利から、家賃などの固定費を引いた残りです。単価を安くすると、稼働率を上げても粗利が固定費を下回ります。
検討段階のリスク判断
- 単価から変動費(予約サイト手数料・清掃・光熱費など)を引いた粗利を計算する
- 固定費を積み上げ、黒字になるのに必要な稼働率(損益分岐点)を求める
- 「安くすれば埋まる」ではなく「埋まる価格×稼働率」で判断する
開業準備のリスク判断
収支の前提を固めるのがこの段階の核心です。中小企業基盤整備機構(中小機構)のJ-Net21が紹介する損益分岐点の考え方が基本になります。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率(1−変動費率)
この計算で「いくら売れれば赤字にならないか」が分かります(出典:中小企業基盤整備機構(中小機構)「損益分岐点を使った目標売上高」)。レンタルスペースでは、これを稼働率に置き換えます。
黒字に必要な稼働率=損益分岐点売上高÷(1枠あたりの売上×枠数)
固定費(家賃・光熱費・システム費・保険など)を積み上げ、1枠あたりの売上から変動費を引いた粗利で割ると、黒字に必要な稼働率が出ます。この稼働率が現実的に達成できるかを、周辺競合の稼働状況と照らして判断します。
Spekanでできることを確認する
機能一覧・料金プランを確認できます
開業後の失敗例
開業後の課題は、「予約が入らない」と「運営が回らない」の2つに集約されます。
失敗例5——予約サイト任せで予約が伸びないケース
モデルケース:大手の予約サイトに登録しただけで開業しました。最初の数カ月はサイト経由の予約が入りましたが、半年後には伸び悩みました。自社で顧客リストを持っておらず、リピート利用も限定的で、サイトに支払う手数料分だけ利益が削られました。日本政策金融公庫の調査でも、開業者が現在苦労していることの上位に「顧客・販路の開拓」が挙がっています(出典:日本政策金融公庫(国民生活事業)「新規開業実態調査」)。
なぜ起きるか:予約サイトは集客の1つの入口にすぎないためです。開業直後の予約はサイト経由でも、そこから自社に取り込めなければ手数料負担だけが残ります。SNSの更新や口コミの収集を怠ると、検索からの流入も増えません。
開業前につくるべき集客の3つの導線
- 予約サイト:検索需要の入口。ただし依存しない
- 自社の予約窓口:サイト経由の利用者を自社に取り込む場
- リピート導線:来場履歴・顧客情報を記録し、再利用につなげる仕組み
来場履歴や顧客情報を記録する顧客管理の仕組み(Spekanなど)を開業前に設計しておくと、集客が予約サイト任せにならず、リピート利用につながります。
失敗例6——手作業の予約・鍵管理で属人化したケース
モデルケース:紙の予約帳と電話・メールでの受付を、代表者1人で管理していました。土日は問い合わせ対応に追われ、予約のダブルブッキングや鍵の受け渡し忘れが発生。清掃やクレーム対応も含めて、代表者が不在の間は予約受付が止まりました。
なぜ起きるか:予約・決済・入退室のすべてを人に依存しているためです。人の手に頼る運営は、担当者が少ないほど属人化し、ミスと対応漏れが積み重なります。ダブルブッキングや鍵のトラブルは、一度起きると評価や口コミに直結します。
検討段階のリスク判断
- 予約受付を、人がいなくても回る仕組みにする(オンラインで予約・決済が完結する)
- 入退室を施錠管理で自動化し、鍵の受け渡しをなくす
- 清掃・備品管理・問い合わせの手順を標準化する
予約管理・決済・顧客管理・スマートロック連携を組み合わせた運営ツール(Spekanなど)を導入すると、人が常駐しなくても回る運営体制をつくれます。予約のダブルブッキングを防ぎ、決済を自動化し、入退室は鍵の受け渡し不要になります。運営者の負担を下げる手段として検討してみてください。
開業後のリスク判断
開業後に起きるトラブルの多くは、開業前に「仕組み」を決めていたかどうかで防げます。
- 予約・決済:オンラインで24時間受け付け、決済も自動にする
- 入退室:施錠の自動化で鍵の受け渡しをなくす
- 顧客対応:問い合わせ・クレームの対応手順を標準化する
- リピート:来場履歴・顧客情報を記録し、再利用の導線をつくる
失敗例に共通する、検討段階のリスク判断5項目
6つの失敗例を、検討段階で確認すべき5つの判断に集約しました。自分の計画を1項目ずつ照合してください。
- 需要:そのエリア・用途に、本当に予約してくれる利用者がいるか。競合の予約状況と実際の利用者へのヒアリングで確認する
- 物件:契約条件(用途・転貸・利用時間)と立地・競合密度を確認したか
- 収支:固定費を積み上げ、黒字に必要な稼働率(損益分岐点)を算出したか
- 集客:予約サイト以外に、自社の集客とリピートの導線をつくる計画があるか
- 運営:予約・決済・入退室を、人に依存しない仕組みにするか
5項目すべてに根拠のある答えが出せれば、開業を進める判断をしてよいでしょう。1〜2項目が曖昧なら、その項目だけ追加で調査してから判断します。特に需要・物件・収支の3項目に答えが出せない段階では、開業の延期や規模の縮小を検討するのが現実的です。運営の項目では、予約管理・決済・入退室の仕組み化に、Spekanのような運営ツールを選択肢の一つにできます。
まとめ
この記事のまとめです。
この記事のまとめ
- レンタルスペース開業の失敗の多くは、開業後に起きた問題ではなく、検討段階の判断(需要・物件・収支・集客・運営)に原因がある
- 開業後1年以内でも約3割が赤字基調で、約4割が当初予想の売上に届いていない(日本政策金融公庫「新規開業実態調査」)
- 失敗例は「検討段階→開業準備→開業後」の3段階×6つのモデルケースで把握でき、各段階にリスク判断の確認項目がある
- 共通するリスク判断5項目(需要・物件・収支・集客・運営)で自己診断し、開業を進める・延期する・規模を縮小する・中止するを判断する
よくある質問(FAQ)
Q. レンタルスペースの開業で失敗する人にはどんな共通点がありますか?
A. 需要・物件・収支・集客・運営の5つの判断を、実際のデータや契約条件で確認せずに「思い込み」で進める点が共通しています。記事末尾の「失敗例に共通する、検討段階のリスク判断5項目」に自分の計画を照合すると、弱点が見つかります。詳しくは「失敗例に共通する、検討段階のリスク判断5項目」をご覧ください。
Q. レンタルスペースはなぜ「儲からない」と言われるのですか?
A. 稼働率が上がらず空き時間が固定費の負担になること、集客が予約サイトの手数料に依存して利益率が下がること、価格設定を誤って「埋まっても利益が出ない」状態になることが主な理由です。開業後1年以内でも約3割が赤字基調という調査結果もあります。詳しくは「開業準備段階の失敗例」「開業後の失敗例」をご覧ください。
Q. 稼働率はどれくらいあれば黒字になりますか?
A. 固定費と1枠あたりの売上から求める「損益分岐点の稼働率」が基準になります。家賃・光熱費・システム費・保険などの固定費を積み上げ、1枠の売上から変動費を引いた粗利で割ると、黒字に必要な稼働率を計算できます。詳しくは「開業準備のリスク判断」をご覧ください。
Q. 予約システムやスマートロックの導入で失敗を防げますか?
A. ダブルブッキングや鍵の受け渡し、問い合わせ対応といった運営負担の属人化を防ぐ手段になります。予約管理・決済・顧客管理・スマートロック連携を組み合わせると、人が常駐しなくても回る運営体制をつくれます。詳しくは「開業後の失敗例」の「開業後のリスク判断」をご覧ください。
予約管理・決済・顧客管理をひとつに
施設運営を効率化する予約管理システム「Spekan」
機能・料金・導入までの流れをまとめた資料を無料で確認できます。
無料・メールでお届け
監修者情報
望月 直紀
約10年にわたり、無人施設の運営やスマートロック関連の業務に携わる。自身でも複数の施設運営を経験し、予約管理や無人運営、収益改善など、施設運営の実務に従事。現場で感じた「業務効率化だけでなく、利益向上まで支援できる仕組みが必要」という課題をもとに、施設運営向け予約管理システム「Spekan」を立ち上げる。施設運営・無人化・予約管理に関する実務経験を活かし、記事を監修。
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。